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新潟市でIT業を営むおっさんのブログ。

SSDの寿命が来たら実際のところどうなるの?

爆速で軽くて低消費電力で低発熱で耐衝撃性も高いという、HDD代替デバイスとして理想的な特性をもつSSD。しかし、容量が少なく価格も高い上にデータの書き換え回数に限界があるという看過できない弱点も持ち合わせているので、残念ながら本格的にHDDを駆逐するには至っていない。

特に書き換え回数の制限はストレージデバイスとしては気になる点だ。にもかかわらず、限界を迎えて寿命がきたSSDがどんな挙動を示すのかは「ググっても判らない」状況である。メーカーも「普通に使うには十分な寿命です」とは言っても「寿命が来たらこうなります」とは言わない。

http://gigazine.net/index.php?/news/comments/20080204_usb_memory_life/

同じシリコンディスクでも単純な仕組みのUSBメモリの場合、寿命が来ると書き込んだデータが端から壊れていく。上記のレポートは貴重だが、スマートメディアやSDカードに寿命がきて、デジカメで撮影した画像が壊れていた、というのは実際に何度か経験済みだ。要するに書き込んだデータが正しく書けたかチェックしてないわけだ。

壊れていても書けちゃう(表向きだけど)。壊れていても読めちゃう(壊れたデータだけど)。

これでは、場合によってはデータが壊れたままでも気づかないので大いに信頼性に欠ける。もし壊れて書き込めないのなら、理想的には書くときに、最低でも読むときに、何らかのエラーになってもらわないと困るのである。なので、私はデータの持ち歩きやバックアップの媒体としては、USBメモリやメモリカードの類を絶対に使用しない。

HDDの代替を目指すSSDの場合、単細胞メモリカードとはちょっと事情が違う。「HDDのフリ」をする高度なコントローラーチップが載っているからだ。たとえば、同じセクタに連続でデータを書き込んでも、物理的に書き込む場所をローテーションして書き込み負荷を全体に分散する。寿命がきたセクタを予備のセクタで代替するものもある。不良セクタを判別するということは、データの中身の正当性を担保してくれると考えてよいだろう。

http://d.hatena.ne.jp/yamagw/20090824/1251115993

さて、上記の記事で約11ヶ月前に導入したA-DATAのSSDが昇天してしまった。いずれ寿命が来るのは覚悟して購入したのだが、1年もたないというのは「まさか」の結果である。

亡くなるときの挙動は「比較的大きめなファイルをコピー中にexplorerが固まる→しばらくしてOS全体が固まる→ブルーバック→ドライブは認識されるがOSは起動しない」という感じ。この遷移は、HDDのヘッドがその過酷な役割から「開放」されてカッコンカッコンと踊りだした*1=データの読み書きが全くできない時と同じ。

取り外して他のマシンに接続して確認したところ、容量や型番は正しく認識された。しかし、パーティションは全部消えており、Windowsのディスク管理ツールで「初期化されていません」と表示される状態。もちろんディスクの初期化は受けつけず、やはり読み書きすべてが拒否されてしまっているようだ。

某ショップの店員さんによれば、SSDの動作不良も多くはHDDと似たり寄ったりで、全然認識されないとか、読めたり書けたりするとか、そんな感じなんだそうだ。上記のような状態に陥るのは「ちょっと聞いたことない」という。

・使用開始直後から容量が9割埋まっていた。
→書き込みローテーションできる範囲が狭い

・使用時間の7割はXPの仮想マシンを起動していた。
→2台分の書き込み負荷

・起動したまま一晩放置する事がよくあった。仮想マシンも動いてたりして。
→電源切るのメンドウなんだもん

スワップファイルを作らない等の気遣いはゼロだった。
→もちろん仮想マシンスワップします

このようにSSDを寿命に追い込むのに十分な条件は揃っていた。書き換え限界を超えて書き込めなくなり、安全のため読み書き全部を拒否するモードに移行した、というのが私の推測である。もちろん寿命ではなく普通の故障の可能性も当然あるのだが、キレイな壊れ方ではある。

仮に寿命だったとしたら。まず「SSDの信頼性」を確認できたのは一応の収穫だ。壊れたときにビシっと確実にエラーになってくれるなら、壊れたデータと知らずに正しいデータに上書きしてしまうような事故は起こらない。逆に、現時点でSSDを実務で運用するための壁は結構厚いと思う。

・空き容量を可能な限り確保する
→ただでさえ容量が少ないSSDでそんなの無理。

スワップファイルを使わない
→メモリが潤沢でないノートPCじゃ無理。

仮想マシンも使わない
VMwareを取り上げられたら俺は死にます。

・こまめにVMを落として電源も切る
→面倒くさ(ぉ

俺の場合、メイン機をどうしても軽量なノートPCにせざるを得ないので、SSDを使うのに現実的なのはサードマシンのデスクトップの起動ドライブというとことだろうか。でも、サードマシンの動作は爆速でなくても十分だ。

とりあえず、愛機のdynabook SS RX2には新調した500GB/7200rpmのHDDを入れて環境を再構築中だ。RX2には元々日立の80GBが入っていたので、相性を考えて日立をチョイスした。1年前の自分は「熱いからRX2に7200rpmはオススメしない」とか言っていたようだが、ここは速度を優先せざるを得んということで。それでもSSD比では遅く感じるだろうからガッカリだな(苦笑)

*1:HDDのメジャーな壊れ方の1つ。ヘッド位置の制御が不能になり不規則に動いて音を出す。