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新潟市でIT業を営むおっさんのブログ。

感染拡大地域における #GoToトラベル 一時停止措置に思うこと #コロナ #GoTo

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私はGoToトラベルは大変良い施策だと考えているのだが(後述)、大波といえる第3波が来ている現状を考えると致し方ない。とはいえGoToトラベルは第3波の主要因ではない。7月以降にGoToで旅行した人は延べ3138万人(10/15時点)。そのうち感染者数は僅か131人(11/9時点)だという。

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感染者数の算出方法がハッキリしないのでこの数字を懐疑的に見る向きもあるが、7月に開始したGoToが要因だとすれば

8月中には感染者数が増加していたはず

なのである。この1点だけ見てもGoToが主要因でない事が明白だ。感染爆発の時期から逆算すると、10/1に実施された入国制限の緩和のほうが疑わしいだろう。

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とはいえ10月の入国者数2万人という数字が、第3波の主要因たりえるほどの人数なのかは判断がつかない。入国した人の移動先をトレースするような仕組みが欲しい気がする。果たして感染爆発している地域への移動が多いのかどうか?

同様に10月から「東京がGoTo対象になった」というのもある。

www.nikkei.com

確かに東京における感染者の絶対数は多い。しかし人口比で考えた場合、10月時点で他の道府県と比較して極端に多かったという訳ではない。これも主要因とするには?が付く。

いずれにしても季節的な要因なども否定できない現状で、やたらと何かを疑って否定したり非難したりすることには本当に意味がない。GoToトラベルによる感染者数が4か月で130人なのだとしたら、それを止めたところで

1日当たり僅か1~2人しか感染者を減らす事ができない

というのが現実なのである。

diamond.jp

この記事では「(経済学の考え方として)市場価格の操作」を否定しているが、 今の特殊な状況下では価格はきっかけに過ぎず「行っても良いのだ」と思わせる心理的な効果が大きい。

「予算以上の経済効果」に加えて「サービス維持」と「消費者マインド回復」が実現できるのがGoToトラベルの良い所だ。トレーサビリティも(性善説に基づく部分はあるにせよ)個人情報ベースで確保される。

直接支援が正しいというが、どのような業種でもお金だけ貰い続けて何もせずでは供給側と需要側の両方が錆び付いてしまう。並の「経済学の考え方」では対処できない事態であり、常識にとらわれない柔軟な手法が求められるのではないか。

とにかく「感染拡大防止と経済活動をいかにバランスするか?」が課題なのだから、感染拡大防止の努力とGoTo(に限らずだ。同様の施策は今後も出てくる可能性が高い。)がトレードオフだとは考えず、両立させる工夫と努力が必要なのである。

個人的に京都、群馬、静岡、秋田、山形、青森とGoToしてきた。どこに行っても受け入れ側の大いなる努力はもちろん、旅行者もその殆どが当事者意識をもって適切に行動しているのを実感した。お互いの節度ある行動に、仲間意識すら感じる場面もあった。

正直なところ、仕事で月1回ほど訪れざるを得ない東京への日帰り移動のほうが危険を感じる。どうあがいても密を避けられない場面が多々あるからだ。常に過密な大都市での日常生活より、節度あるGoToのほうがリスクは低いかもしれない。

『気遣いは当たり前であり、節度のある範囲で旅は十分に楽しめる。』

上手にGoToを活用しているのはそういった価値観の人が多いのだろうと思う。「そんな息苦しい旅はイヤだ!」「旅行とは宴会だ!」という志向の方は、しばし我慢したほうが良いだろう。当たり前だが、工夫と努力は供給側だけではなく消費側にも求められる。

しかしながら『「行っても良いのだ」と思わせる心理的な効果』は、GoToするかしないかに関わらず「気の緩み」をもたらしてしまうという点は否定できない。以下の事例など最たるものだ。

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すでに半年以上の長期戦となっている。GoToした先だけではなく日常生活においても慣れや油断が出てきている、と自覚する人も多いのではないか?新しい生活様式に沿わない行動は、GoToしようがしまいがダメなのである。

今回のGoToトラベルの一時停止措置は、このような気の緩みに対して一定の効果があるだろう。これが間接的にでも感染予防に繋がっていくと良いのだが。その上で、1日も早い「GoToトラベル全面再開」を期待したいと思う。

以下は11月までのGoToトラベルのリザルトと「アフターGoTo」の課題がまとめられた記事である。

president.jp

11/13時点で延べ4000万人に迫る利用があり、割引支援額は2,087億円に上るそうだ。1.3兆円の予算にはまだまだ余裕がある。この数字からざっくり単純計算で1人1泊当りのお値段を出してみよう。

2100億円÷4000万人泊=5250円/1人泊

これは35%の割引や最大15%のクーポンに対する支援額なので、宿泊費は1人泊あたり1万円台前半ということになる。一時期「高い宿」ばかりに偏っていると言われていたが、そこまで高額になってはいないようだ。また、旅行には移動や食事が伴うから1人あたりの支出は宿泊費から支援額を引いた金額より多くなる。ざっくり1人泊あたり1万円を使ったとすると、

4000万人x1万円=4000億円

が国民の財布から支出されたという計算になる。これを例えば「旅行業界への直接支援の財源」という名目で税として徴収しようとしたら、当然ながら反発もあるだろうし景気への悪影響は避けられないだろう。

いやらし言い方をすれば、GoToは「旅行する余裕がある金持ち(実際にはGoToで喜ぶ「本当の金持ち」は少ないと思うけれども)が喜んで金を差し出す政策」なのだ。「多くが貯蓄に回ってしまった!」と麻生氏が嘆いた10万円の特別給付金(経費抜きで12兆円かかる)と比較しても、効率よく狙った業界に向けてお金が動いたのだ*1

不公平や副作用は確かにある。しかし、何につけても「完全な公平」などというものはこの世にはないのだから、余程アンバランスで致命的な結果をもたらさない限りは、どんどんやったほうが良い。

最後にこの記事。

blogos.com

GoToを目の敵にして全面的に停止すれば、感染リスクを伴わないように配慮した安全な旅行を楽しみたいという多くの人々の観光業や飲食業への経済的貢献に影響を与えてしまいます。
その前に、もっとあからさまに感染を拡大しうる密な飲み会が観光などとは無関係に繁華街では行われていることに目を向けるべきではないでしょうか。

全くもって「その通り!」である。

*1:もちろん特別給付金はとにかく配って本当に困っている人をとりあえず助けるという意味があるので「どちらが良いか?」というものではない。割合はさておき全体がデカいので貯蓄に回らず消費された額も大きい。