俺#

新潟市でIT業を営むおっさんのブログ。

自宅の #FTTH を #v6プラス に変更して #IPv6 レディーになった話

ADSL時代から長いことお世話になっているプロバイダに「使いすぎ!来月から制限かけるぞ!」というお叱りのお手紙を頂いた。職業柄それなりにヘビーな使い方をしている自覚はあったが、この手の警告を受けたのは初めて。

どのくらい使ったら警告を受けるのか?という情報は公開されていないが、『FTTHにサヨナラできる?携帯大手が始める5Gルーター新サービスの可能性(2ページ目) | 日経クロステック(xTECH)』によれば

「我が国の固定系ブロードバンド契約者1契約当たりのダウンロードトラヒック、1契約あたりのアップロードトラヒック」として推定値が出ている。これによると、ダウンロードトラフィックは1カ月当たり約174.6GB、アップロードトラフィックは1カ月当たり約20.3GB。合計で約194.9GBとなる。

だそうだ。警告を受けた前の月には普段の通信に加えて約500GB位のファイルをダウンロードしていたので、200~600GBの間あたりに閾値があるということになろうか。うん、幅がありすぎで役には立たないですな。

お手紙には、続けて「従来の『PPPoE接続』から『v6プラス』にすれば制限かかりませんよ。」とあった。v6プラスは気になっていたが、自宅サーバでのWeb公開ができなくなるので避けていた。正確には、IPv4アドレスが不特定多数と共有となり、公開可能なポート番号がユーザー毎に固定となる。TCP80番と443番を公開してWebサーバを運営することはできない。

v6プラスにすることの見返りは、(1)混雑時の速度が速くなるかもしれない、(2)IPv6によるインターネットアクセスが可能になる、(3)プロバイダによる通信速度制限が回避できる、の3つである。

(1)はケースバイケースらしく、解り易いメリットを提示してv6プラスへの移行を促す意味合いが強いと思っている。

(2)のメリットは今はまだほとんどないが、既にエンドユーザーはかなりの割合がIPv6レディになっているそう。サーバサイドのIPv6対応が数年後に急加速しそうな予感はする。最終局面では、IPv4オンリーのサイトがGoogleの検索結果で上位に来なくなる...なんて事になるかもしれない。

(3)は今回初めて知ったメリット。v6プラスの回線サービスは JPNE が提供し、プロバイダはただのリセラーとなる。JPNE は今のところ通信量による速度制限などをかけていないのだろう。将来に渡ってそのままかどうかは判らない。

v6プラス(とそれ以外のIPv6接続サービス)について、無償で公開されている以下のPDFが非常に良くまとまっている。ネットワークに関わる事があるエンジニア諸兄は目を通すことをお勧めする。v6プラスを使うかどうかに関わらず発見があると思う。

www.jpne.co.jp

さて、重い腰を上げてプロバイダのサイトで移行の段取りを確認していたら、期間限定で市価5000円程度のv6プラス対応ルータを990円で頒布してくれるという。コストをかけてユーザーをv6プラスに移行させるメリットが、プロバイダ側にはあるようだ。

この格安ルータ提供が最後の一押しとなりv6プラスへの移行を決定した。

初めてv6プラスで接続すると従来のPPPoEが使えなくなる仕組みで、移行時のダウンタイムは最小限だった。「対応ルータを回線に接続するだけで設定が完了する」というのに驚く。ユーザー名とパスワードすら入力する必要がない。Wi-FiSSIDを変更しなくても我慢できるなら、ルータの設定画面を開く必要もない。今後はこれが当たり前になるのだと思った。

速度は、最大で下り250Mbps程度、上り450Mbps程度出るようになった*1

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https://www.speedtest.net/ での測定結果

また混雑時間帯に重いと感じることがなくなったかもしれない。IPv6アドレスを持ったWebサーバにアクセスしてみたところ、ちゃんとIPv6で直接アクセスできた。これはこれで今後役に立つと思った。サーバ側のIPv6対応も徐々に提言していこうかな。

自宅サーバによるWeb公開はどうしたのか?というと、以下のような構成で継続することにした。

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クラウド上に仮想サーバ立ててVPNサーバとリバースプロキシを動かす。自宅サーバから常時VPNを張っておき、リバースプロキシを介して自宅サーバのWebサーバを公開している。クラウドに直接コンテンツを置かないので、仮想サーバはCPUもメモリもストレージも最小限で済むわけだ。自宅外から自宅サーバへのアクセスも、VPN経由で確保される。

今更ながら、難儀しそうだと思っていたIPv4からIPv6の移行は着実に進んでるのだ、と思った次第。少なくともエンドユーザーのユーザー体験としては、完全にシームレスな移行が可能な仕組みが既に整っているのである。

*1:初出時に「上下とも150~200Mbps程度と戸建て用FTTHとして十分だ」としていたが測り直したらもっと出てた。計測サイトや時間帯にもよるよね。