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新潟市でIT業を営むおっさんのブログ。

行政の原発事故対応は本当にデタラメなのか?

今日は水道水の放射能汚染への対応について精査してみる。まず「事故後に上限値が30倍に変更された!酷い!」というデマだが、半分は本当だ。

飲用水における放射性ヨウ素の濃度、WHOの基準では平時で10Bq/kgが上限とされる。今回適用されている(事故の後に決定された)基準値は300Bq/kgで、確かにWHOの値の30倍である。「それは酷い!」となる前に、この件についての厚労省の資料を確認してみよう。

http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001558e.html

要するに「非常時における暫定値」なのである。今後わが国はWHO基準の30倍まで許容する原子力の天国になります、という意味では決してない。非常時なので一時的にこの値を上限と設定しますから安全のために皆さん守りましょう、という事だ。

この300Bq/kgの値がどのように決定されたかは以下に記述がある。

http://www.nsc.go.jp/info/20100823.pdf

簡単に言えば、50ミリシーベルト/年の許容量の2/3を上限として、食品別に割り当てたものらしい。多少食べるものが偏っても、1/3のマージンがあるから許容量を超えたりはしませんよ、という理解でよい。そして、50ミリシーベルトの許容量がどこから来たか?というと、

http://jglobal.jst.go.jp/public/20090422/200902130976907950

ここなのです。残念ながら申し込みしないと中身は見られないものの、「放射線緊急時における公衆の防護のための介入に関する諸原則」とある。後者2つの資料は震災前のものであり、最後の1つは国内の文書ではない。少なくとも「誤魔化すための30倍」ではない事は理解できよう。

また、先日水道水の測定値が100Bq/kgを越えた時、乳幼児のいる世帯に飲料水が配布された。これは「100 Bq/kgを超えるものは、乳児用調製粉乳及び直接飲用に供する乳に使用しないよう指導すること」という注意書きに従ったものだ。今の所、必要な対策が必要なときに取られていると考えて良いだろう。

もちろん、あくまで「非常時の暫定基準値」なので、もし汚染が長期間継続するような状況になったら自己判断で回避すべきだろう。仮に300Bq/kgが11日継続したら、WHO基準では1年分なので、この辺が判断材料となろう。しかし、現時点で慌てて水の買占めに走る必要性は「全くない」。高い値が検出される時に備えて水道水を貯め置こう。

http://www.city.matsubara.osaka.jp/6,687,14,101.html

水道水は冷蔵庫に入れれば1週間程度もつそうだ(ただし煮沸して使用すること)。放射性ヨウ素半減期は8日なので、1週間後には半分になっているというのも気休め程度の安心材料となる。他の放射性物質半減期はもっと長いので、一応「気休め」ということで。

ただねー、

http://www.waterworks.metro.tokyo.jp/press/h22/press110328-01.html

これはよくありませんな。20Bq/kg以下を「不検出」と公表するなんて。「不検出」と聞いたら「全くないのか安心だ!」と思うでしょ。仮に20Bq/kgだったとしてもWHO基準の2倍なんだから、こういう誤魔化しは良くない。こんな事をするから「ちゃんと仕事をしても信用されない」のが解らないのかなぁ。