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新潟市でIT業を営むおっさんのブログ。

中央道笹子トンネル崩落事故

日本の長大トンネルで、自然災害でないこの規模の事故は初めてであろう。

半分寝ていても走れる、慣れ親しんだ道だ。愛すべき道である。最初耳にした時、「コンクリが剥がれ落ちてボンネットを潰す→出火→後続車が数台追突」程度のモノだと思った。あのトンネルが100メートル以上に渡って崩落したとは、本当に信じ難くショックが大きい。巻き込まれた車が3台で済んだのは運が良かったのではないか。朝の上り線だったのが(亡くなった方には申し訳ないが)幸いしたのは確実だ。

「ここは天井が平らな珍しいトンネルだ」と、話しながら走ったことがある。側壁からはいつも水が染み出ており、時折フロントガラスにも水滴が落ちてくる、難工事を思わせるトンネル。その時は掘削の都合でそんな形なんだろう...と推測したわけだが、アレが鉄の棒で吊るしたコンクリート製の天井だったとは!「天井裏」に通気口の役割を持たせるための構造だそうだ。

ニュースを見ているとマスコミはすぐに特定の誰かの責任を決めつけようとするが、原因はまだわからないと思った。点検の手抜きが事故を防げなかった一因だとしても、未だ余震が続く震災の影響はゼロではないだろうし、漏水で腐食が想定より早く進んだかもしれないし、ひょっとしたら隠された部分的施工ミスなんてのがあるかもしれない。

良いニュースは、トンネル構造そのものの破壊が原因でないこと。地滑りや断層などの地殻変動でトンネル構造が歪んだ、というような原因だとしたら笹子トンネルの半恒久的な閉鎖という最悪の事態もあり得た。東日本大震災と余震の影響は誰もが最初に頭に浮かべるだろう。悪いニュースは、同じ天井裏構造のトンネルが全国に数十本あること。

下り線は一週間ほどの点検作業の後に再開予定だそうだ。早すぎて怖いが、下り開通の後に上り線の復旧が長引くようであれば(数か月のスパンだろう)、下り線のみで対面通行させるかもしれない。もっとも、下り線だって同じ構造で同じメンテナンスを受けてきた同じ歳の双子トンネルだ。点検の結果がNGの可能性はある。

東京〜甲府間の移動の基本は国道20号だが、う回路として塩山から奥多摩に抜ける国道411号(大菩薩ライン)と、笛吹から河口湖へ抜ける国道137号(御坂道)がある。前者はサンデードライバーには少々厳しい峠道なので、ガソリン残量に余裕を持ち日没3時間前までに塩山(下りの場合は奥多摩)を通過する事を強くお勧めする。後者は峠だが走行は容易な部類だ。河口湖からは高速なので安心だろう。

個人的には、飯能から甲府へは「秩父〜雁坂トンネル経由」が、その先の諏訪や松本へは「関越〜上信越〜佐久経由」が選択できるのでショックはあるが困惑はしていない。「バイキングさくら甲府本店*1に夕飯を食いに行くとか、息子が学校に行った隙に嫁と「ほったらかし温泉」でデート等は中止だが致し方あるまい。甲府は遠くになりにけり。道路の偉大さも、維持の大変さも思い知る。

しかし、「吊天井」って根本的に脆弱な構造なんじゃないかね。震災では多くの建物で吊天井が落ちた。隣り合う構造同士の衝突と揺れの共振が弱点だという。トンを超える重量のコンクリートを車の上に吊るなんて、肝が冷える。照明器具のようにチェーンでフェイルセーフにはできまい。追い越し禁止にして中央に鉄柱を立てる、みたいな対策はできんのだろうか。え?鉄柱に車が衝突したら?いやいや...どうするんだろう(ぉ

亡くなった方のご冥福をお祈りします。

*1:何年か前まで「すたみな太郎」だった。幼少時代は諏訪から通い、親になっても立川や飯能から通っている深く縁のある店である。